聖天宮に行ってみた

聖天宮に行ってみた

埼玉県にある日本最大の道教寺院「聖天宮(せいてんきゅう)」に行ってきました。

聖天宮の天門
聖天宮の天門。

道教とは、中国三大宗教の一つで、現在でも台湾などの地域で強く信仰されています。

数は少ないものの、日本国内にも道教の寺院は何箇所かあり、その中で最大規模といわれるのが、埼玉県坂戸市にある「聖天宮」です。

聖天宮 天門の装飾
凄まじく豪華な装飾に驚く。

工業団地を抜けて、何もない田園地帯を走っていると、突如それは姿を現しました。一見すると、何か危ない新興宗教かと勘違いしてしまいますが、由緒正しい道教のお寺さんです。

敷地は意外と広く、駐車場もゆったりしています。大型バスが数十台押し寄せても安心なキャパシティーです。

聖天宮 周囲の風景
田園風景の中の異様な光景。

まずは、入口の大きな門の下で拝観料(300円)を払います。

よく見ると、入口の門(天門)から既にかなりやばいクオリティです。派手な色遣いもさることながら、目を奪われるのは、精巧に作られたその装飾。軒下から無数にぶら下がる金ピカの灯籠や、屋根を駆け上るように造形された9体の竜など、贅沢の極みとも思える装飾の数々で埋め尽くされています。

聖天宮 前殿
二つの楼閣を有する聖天宮の前殿。

門をくぐると、前殿と呼ばれる建物があります。こちらも素晴らしい装飾で、すっかり台湾旅行気分です。

聖天宮 前殿の屋根
屋根の装飾が実に見事。

聖天宮は、道教の最高神「三清道祖」が祀られていて、道教寺院としては最高クラスにあります。敷地内の建築物を見ると、その力の入れようにただただ感心するばかりです。

観音山の石を使って造られた九龍柱
一本の石柱から掘り出された「九龍柱」。

前殿の石柱は、聖天宮の見所の一つ。竜の装飾が複雑に絡み合い、まるで中心の柱とそれを囲む飾りが別々に造られているように見えますが、なんと、一本の石柱から削り出した彫刻です。

聖天宮 内部
前殿の内部に入ってみる。

前殿の内部は宮殿のような回廊となっていて、埼玉にいることを忘れてしまいます。参拝客が少ないため、ゆったりと見て回ることができました。

聖天宮の回廊
宮殿を思わせる美しい回廊。

前殿には道教式のおみくじがあり、100円で誰でもチャレンジできます。道教のおみくじは日本のものとは違い、引く前に神様の「許可」が必要です。

聖天宮 台湾式おみくじ
道教式おみくじで用いる「神杯(シンプエー)」。

まずは、竹の棒がたくさん入った筒から一本を引き、書かれている番号を覚えておきます。次に、神杯(シンプエー)と呼ばれる2つの木片を床に落とし、「陰」と「陽」それぞれの面が上になれば、神の許しが下されたことになり、該当番号の引き出しからおみくじを取り出します。

聖天宮 おみくじ
おみくじの結果は「中凶」だった。

ちなみに私が引いたのは「中凶」で、内容は散々でした…。

前殿を抜けると、中庭のような空間があり、その先に本殿が構えています。

聖天宮 本殿
中庭の奥にあるのが本殿。

聖天宮を建てたのは、台湾出身の康國典大法師。不治の病から一命を取り留め、感謝の気持ちから寺院を建てることにしたのだそうです。“神のお告げ”により、埼玉県のこの地が選ばれたということですが、台湾の神様が坂戸市を選ぶとはなかなかマニアックです。

聖天宮 本殿の写真
本殿にも精巧な装飾が施されている。
聖天宮 天井の装飾
本殿の天井には、龍の装飾が環状に並んでいる。

台湾から一流の宮大工を集め、着工から15年後の平成7年に完成しました。装飾の一つ一つを見ると、その精巧さ、スケールの大きさから、相当な人数とお金が投じられたのでは、と想像されます。

聖天宮の鐘楼
聖天宮の鐘楼に登ってみる。
聖天宮の鐘楼
立派な鐘がぶら下がっていて、自動制御で音が鳴る。

ちなみに、天門から向かって右側に鐘楼、左側に鼓楼があり、どちらも中に入ることができます。建物自体は鉄筋コンクリートの近代建築ですが、楼閣には立派な鐘と太鼓が備わっていて、毎日午後3時に自動制御で音が鳴る仕組みです。

聖天宮 鼓楼
鼓楼の内部。基本的に鐘楼と構造は同じ。
聖天宮の鼓楼
真っ赤な太鼓が備え付けられていた。

日本の寺社だと、太鼓が設置されている楼閣は珍しいのではないでしょうか。

楼閣からは、周囲の風景を見渡すこともできます。聖天宮の周りには、田畑や住宅地が広がっていて、ここだけ場違いな感じです。

最後に、聖天宮の敷地内に「鳳凰堂」という建物があったので、立ち寄ってみましたが、整体院のようでした。人知を超えたパワーを注入されそうですね。

聖天宮 鳳凰堂
聖天宮の敷地内で営業している整体院「鳳凰堂」。

埼玉なのに台湾旅行の気分が味わえる「聖天宮」。関東近郊にお住まいの方は、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょう。

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投稿日時

2015年07月11日


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