奥多摩 天空の集落 旅行・観光ガイド ブログ

奥多摩湖から峰谷・峰・三沢集落へ向かう

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東京にある「天空の集落」

奥多摩には、標高の高い斜面に集落が点在しており、その様子から「天空の村」とも言われています。今回は、峰谷集落を含む周辺の4つの集落を訪ねました。

なお、今回は知人の運転する自家用車に乗せていただきました。

奥多摩湖
小河内ダムを過ぎ、奥多摩湖の奥の方に目的の集落がある。

峰谷は、奥多摩駅からの路線バス「奥14」系統の終点となっていて、一日3往復の運行があります。奥多摩駅からはおよそ40分弱の所要時間でアクセスでき、運行本数は少ないながらも、ある程度の利便性が確保されています。

峰谷には、「峰谷川渓流釣場」があり、集落は、峰谷川に沿って谷底に形成されています。四方を山に囲まれた地形のため、特に冬場は日があまり差さず、やや薄暗い印象です。

2015年の国勢調査では、峰谷とその周辺地区合わせて、48世帯、89人がお住まいとのことらしいです。

峰集落

それではまず、一つ目の集落「峰」に向かいます。(以前、鳩ノ巣駅から登山道を歩いたところにある同名の廃村を訪れたことがありますが、特に関係は無さそうです。)

峰谷地区に入ると、それまで無かった積雪が見られるようになりました。奥多摩湖周辺の雪はすっかり溶けていましたが、峰谷は周囲を山に囲まれた地形のため、日陰の時間が長く、なかなか雪が溶けないのかもしれません。

奥多摩 峰集落の分岐点
左の道を登っていくと峰集落に行き着く。

峰集落は、峰谷の西側斜面に位置し、「峰谷川渓流釣場」の近くから山の斜面へ分岐する道が集落へのアクセス路となります。

奥多摩 峰集落への行き方
集落までは、何もない山道が続く。

かなり険しい登り坂のため、降雪時は冬用タイヤの装備が必須です。訪問時は若干の積雪もあり、凍結した路面に注意しながら登っていきました。

奥多摩 峰集落
峰集落に到着。

しばらくは山林を進むため、この先に人家があるのか不安になりますが、突然視界が開けて、石垣や畑などが現れます。ここが峰集落のようです。訪問時には人の気配は無く、静寂に包まれていました。

峰谷ほどではありませんが、積雪は結構ありました。山の斜面に位置しているため、日照時間に限りがあることに加え、標高が高く、気温が低いことも影響しているかもしれません。

集落内の看板には、「千本ツツジ 七ツ石山 雲取山」の記載があり、ここから先登っていくと、登山道に続いていることがわかります。

奥多摩 峰集落の眺望
標高が高いため、眺望がよい。

峰集落の標高は、最下部で670m、最上部で970mとなっており、地図上では峰谷に近接しているように見えますが、標高差がかなりあります。交通の利便性よりも、日当たりの良さ、眺望の良さを優先して集落がつくられているようです。急な斜面に石垣を築き平地を確保しており、涙ぐましい努力が窺えます。

訪問時には、住民の姿はありませんでしたが、畑の脇のスペースには、軽トラックが駐車されており、居住者がいることがわかりました。電線も麓から引っ張ってきているようでした。水道はどうしているのかが気になります。

奥多摩 峰集落の畑
イノシシ避けの柵で囲われた畑。赤い門が気になる。

集落は一本の細い林道に沿って形成されていて、一箇所に固まっているというよりは、ぽつぽつと点在しているイメージです。各家が斜面を開拓して畑にしているため、それぞれの家が土地を確保できるように、距離をとって居を構えているようです。

集落の途中には、神社や集会所(峰生活改善センター)があり、それなりに住民がいるようです。

三沢集落

峰集落を下り、再び峰谷に戻ってきました。この後さらに谷の奥にある「奥」集落へ進んでいきます。

奥多摩 三沢集落への行き方
三沢集落へ分岐する道。
奥多摩 峰谷川
川の水が良質なため、近くにワサビ畑もあるらしい。

道は谷筋の峰谷川に沿って続いていますが、途中分かれて急斜面を登っていく場所があったので、上がってみました。ここが「三沢」集落です。

三沢集落は、急斜面を切り開いたような場所で、地図上では大規模な民家が1軒と、斜面に張り付くように作られた畑が確認できます。

奥多摩 三沢集落の入り口
急峻な地形に造られた三沢集落。

峰谷のほかの集落に比べても、特に急峻な地形が目を引きます。こんな壁みたいな斜面を、よくぞまあきれいに開拓したなと関心するばかりです。

集落内には炭焼き小屋もあり、一軒家にしては、かなり大きな規模です。この辺りの住民は、林業で財を成した人が多いのでしょうか。

奥多摩 三沢集落の民家
限られた平地に大きな邸宅が築かれている。

集落は行き止まりのように見えますが、実は山道が隣の奥集落に繋がっており、徒歩道としてはこちらが近道です。

おそらく、自動車道ができるまでは、こちらが主要なアクセス路だったのではないでしょうか。

奥多摩 奥集落への近道
奥集落へ通じる山道。徒歩であればこちらが近道。
奥多摩 三沢集落の山道
この道が奥集落へ続いているらしい。

藤棚のような覆いを抜けていった先が、奥集落に続く山道だと思われます。

奥多摩 三沢集落の全景
民家は少ないが、重要な拠点であったことが窺える三沢集落。

かつて徒歩での往来が盛んだった時代には、ここ三沢集落は、奥集落やその先の鷹ノ巣山へと繋がる重要な中継地点だったと考えられます。

そうすると、この位置に大邸宅があることにも納得ができます。

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探索日
2015/01/24
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