UMIMADO
「UMIMADO」は、大学の学祭向けに企画・制作したゲーム作品です。シンプルなルールのシューティングゲームですが、コミュニケーションを誘発する仕掛けがあり、学祭の展示では、見事に注目を集めることに成功しました。
開発にあたっては、企画・デザイン・実装まで、基本的には私がメインで進めましたが、ゲームロジックの調整と一部のキャラクターデザインで友人のサポートを受けました。
学祭の展示向けに制作したものではありますが、プログラム本体はActionScript 3.0で開発しており、ブラウザで動作することから、一定期間ウェブサイト上でも公開していました。
- 制作年/参画時期
- 2008年
- 形態
- アプリケーション(Flash)
- 種別
- アプリケーション開発、UIデザイン
- 案件フェーズ
- 初期立ち上げ
- チーム規模
- 1名(個人開発)
- 役割
- デザイン、開発に関わる全て
誰もが楽しめるゲームを目指す
私の所属していたサークルでは、毎年ゲーム、アニメを題材とした展示を行っていました。しかし、これまではアートワークや映像作品が展示のメインだったために、素通りする来場者が多く、今ひとつ賑わいに欠けるという課題がありました。
そこで、その場ですぐに遊べる本格的なゲーム作品を企画しました。
「誰もがすぐにルールを把握し、熱中して楽しめるゲーム」として、横スクロールのシューティングを軸に検討を始めました。
中毒性のあるエンドレスゲーム
私は、以前から友人とシューティングゲームの開発をしており、「いかに熱中させるか」という観点から、ロジックの作り込みをしていました。
こだわったのは、特別な仕掛けやボスキャラが無くとも、自然と難易度が上がっていき「楽しい」と感じる体験です。また、ゲームに終わりを作らず、スコアアタックに徹する形にもこだわりました。こうすることで、ゲームが「自分との闘い」になり、「もっと良い得点を取りたい」という思いが中毒性を高めます。
シューティングゲームとしては異例の試みとして、あえて一度に発射できる弾の数を極端に少なくし、爽快感を無くしました。また、弾を細くし、「当たりそうで当たらない」ような絶妙な調整を行いました。
これらの工夫から、「なんか上手く行かない」「もっとやりたい」という気持ちを引き出せるゲームになったと思います。
コミュニケーションを誘発する仕掛け
本作品のもう一つの特徴として、ウェブカメラの映像がリアルタイムで背景に表示されるという点があります。
これは、ゲームの本質的な部分とは何の関係もありませんが、プレイ画面の「窓」のような形状から、「窓の向こうを覗いている」ような感覚を味わってもらおうと意図したものです。
また、これは学祭の展示に向けた、ある種の「仕掛け」でもありました。学祭を訪れる友人や家族同士でこの作品を遊ぼうとした時、通常のゲームであれば、一人が遊んでいる様子を、そのほかの人はただ見ているしかありません。しかし、ウェブカメラの映像がゲームに投映されることで、プレイヤー以外の友人、家族もゲームに参加することが可能になるのです。
幅広い世代から人気を集める
学祭の展示は、例年とは雰囲気を変え、ゲームショップのようなブースデザインを志向し、気軽に作品を手に取ってもらえるように工夫しました。
結果的に、本作品は大盛況で、常に誰かが遊んでくれている状態が続いていました。取っ掛かりとして、カメラ機能に興味を持って触ってくれる友人・家族連れがいたり、ゲームに熱中してしまい、いつまでも離れないちびっ子がいたりと、概ね狙い通りでした。
特に、幼い子どもたちが熱中して繰り返し遊んでくれていたのが、印象的で嬉しかったです。最終的には、諦めた親が、託児所のように子どもを置いていく場所になってしまいました(笑)。