作品で振り返る10年

「次へ」いま何を思うか。

ありの木の10年

ありの木
さて、一通り見てきたわけだけど、どうだった?
Hideshoe
いろんなエッセンスが詰まってる。小学生とか中学生にしか作れないものだと思う。
ありの木
発想が自由だよね。何かに縛られてない感じがいい。
ゲームにしろツールにしろ、何も無いところにルールを作って、「これはアクションゲームだ」とか「テキストエディタだ」とか意味を持たせるわけだよね。
例えば白い画面に文字が動いているだけのものを、「追っかけゲーム」だと定義付けた。この発想は大事だと思う。
Hideshoe
どんな駄作であっても、そういう作品は愛したくなる。ソフトを使うということは、作者の理念を感じることだからね。
ありの木
できることなら、今この歳になってからでも、こういう遊びができたらいいな、と思うよ。
Hideshoe
もちろん、「思い出補正」っていうのはある。この2人で見るから、面白いネタもあるし。
ただ、本当に面白くなりそうな作品もぽつぽつある。
ありの木
我々の年代だと、初めてゲームを作ろうと思った時、まずはキャラクターとかグラフィックとか、上っ面から入ると思うのね。そういう意味で、BestGamesなんて、真っ白い画面に文字が並んでるだけでしょ。ほぼ真逆のアプローチなんだよね。
Hideshoe
文字通りの「原点」だね。「何が大事なのか」っていうことを、原始的に考えていた。
ありの木
我々は最初からプログラムを「表現手段」として捉えていたのかもしれない。自分のアイディアをアプリケーションにすれば、「どう、面白いでしょう?」って世間に問うことができる。
技術の習得が目的では無かった。
Hideshoe
確かに。プログラミングを習得したいっていう積極的な欲求は無かった。方法はどうであれ、考えを形にすることを重要視していたね。
ありの木
ここ数年で、またいくつかゲームを作ったけど、常に「新しい提案」っていうのは重視してる。
Hideshoe
たぶん、考え方の基礎には、過去の経験があるんだと思う。我々があまり技術をひけらかす方向にいかないのは、大事なのはそこじゃないってことに気付いたから。
ありの木
うん、技術って、日々進化していくものだからね。
最近触ってなかったけど、HSPも3になってからえらく発展したじゃない。Laboltで苦労した処理が、命令一つでできるようになってたり。
Hideshoe
そうらしいね。今HSPを触っていたら、また違う作品が生まれていただろうね。
ありの木
技術は進歩する、でもコンセプトとか信念って揺るがないし、それは永遠にオリジナリティといえる。
失敗例もたくさんあったじゃない、ST(SecretTreasures)とか。見た目や操作性を作り込んだ結果、かえって面白さが失われたり。
Hideshoe
人を楽しませるには、表面だけでなく、ロジックも作り込まなきゃいけないことを学んだね。
ありの木
数を重ねないと、高品質なものはできないって分かった。一発目にできたものが「成功」だなんてあり得ない。
何ごとも10年続けると、自信になるのかなと思うのね。それが「HSP」であろうと、ウェブ制作であろうとも。
Hideshoe
AOE(Age of Empires)やってるって言ったでしょ。あれもまあ、10年かそれ以上やってるわけなのね。
単純に、技術的な話じゃなくて、霧が晴れるというか、10年経って、ようやく奥深さを知るというか。
ありの木
うんうん。
それでまあ、今回、過去を振り返って、未来を考えようっていう企画なんですが。
これから我々はどうなっていくか。
Hideshoe
これは10年とかじゃなくて、もっと昔からだけど、やっぱり「ものづくり」はやめられないのかなと思う。
ありの木
だよね。この10年で学んだことって、別にソフト開発だけじゃないと思う。
ものを作る上での心構えというか。
表現し辛いけど、自己満足のランクが上がったやつ。笑
誰かのためとか、お金儲けとかじゃなくて、自分のために作ってる。だから、自分がいいと思うまでこだわれる。
Hideshoe
でも、この歳になると、何もかも極めるって難しいのかも。我々が10年やってきたことをまた10年って、そう簡単ではないと思うね。
ありの木
取捨選択はしなきゃいけないと思う。
ただ、これから10年って考えると、何か新しいことを始められたらいいかな。10年を節目に、またスタート地点に立ちたい。
Hideshoe
10年後、またサイトの内容がガラリと変わっているのかな。
ありの木
そうねー、まずは途切れさせないことが大事だね。更新が停滞することがあっても、閉鎖することは無いようにしないと。