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青ヶ島への行き方 東京愛らんどシャトル

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青ヶ島への行き方

青ヶ島は、伊豆諸島の有人島としては最南端に位置する島。来る者を寄せ付けない独特な地形から「鬼ヶ島」とも呼ばれ、二重式カルデラを一望できる珍しい島でもあります。東京都心からは約360km、八丈島から南へ約70kmの位置で、本土から直通の交通機関はありません。

今回利用したルート。

東京都内の離島では随一の行きにくさで、小笠原よりも行くのが難しいと言う人もいます。その理由は、就航率の低さです。

通常、本土から青ヶ島へ行くためには、まず八丈島に渡って、船、またはヘリコプターに乗り換えます。

船は、還住丸(かんじゅうまる)という貨客船で、一日一往復(日曜を除く)、八丈島と青ヶ島を結んでいます。しかし、黒潮の影響で海が荒れることが多く、また青ヶ島の港湾設備が貧弱なこともあり、就航率は5割を切るともいわれています。実際、私が青ヶ島に渡った時も、台風による高波の影響で、1週間欠航が続いていました。

現実的な手段として使われるのが、東京愛らんどシャトル(ヘリコプター)です。愛らんどシャトルは、八丈島を起点として伊豆諸島を結ぶ交通機関で、特に船の就航率が低い島への移動手段として活用されています。風雨に強いといわれるヘリコプターの特徴から就航率8割以上を誇る一方で、定員が9人と輸送能力に問題があり、一日一往復の予約を求めて、1ヶ月前から電話予約が殺到します。運良く予約が取れたとしても、欠航すれば、翌日以降のキャンセル待ちになります。

「行ったら最後、1週間は閉じ込められる覚悟で」というのが、青ヶ島観光の掟です(笑)。実際、行くにも帰るにも数日の余裕は見た方が良いと思います。

私の場合、羽田空港から朝一の全日空便で八丈島へ。その後、9時20分発の愛らんどシャトルに乗り換えて、青ヶ島に9時40分着という旅程でした。恐らくこれが最速ルートで、羽田から2時間で青ヶ島に上陸できます。島民や仕事で来島する人もよく使うルートで、時間に余裕のない人にはお薦めです。

八丈島空港

7時40分羽田発の便で、八丈島に8時半ごろ到着。ほぼ時間通りでした。

東邦航空の搭乗手続きの時間に余裕が無いため、急いで受付に向かいます。(乗り換えをスムーズにするため、全日空で荷物を預けないようアドバイスを受けていました)

八丈島に着いた全日空機
全日空で八丈島空港に到着。
八丈島空港の愛らんどシャトル窓口
東邦航空の受付カウンター。

空港の一番隅っこに東邦航空のカウンターがありました。荷物を計量し、料金を支払います。

9時過ぎに保安検査開始。乗客は9人なので、すぐ終わります。

搭乗待合室で給油中のヘリを眺めながら待機。その間、東邦航空の職員とみられる女性(搭乗手続きで応対してくれたのと同じ人)が気さくに話し掛けてくれました。

この日は、青ヶ島に雲がかかっていて、視界不良。条件付きの運行とのことでした。ただ、その職員曰く「今日はベテランパイロットだから大丈夫」らしい。

雨風には強い愛らんどシャトルですが、視界不良が天敵らしく、特に標高の高い青ヶ島ではしばしば「条件付き」になるそうです。

搭乗待合室の入口
保安検査が始まるまで待機。
八丈島空港の搭乗待合室
搭乗待合室で待機。
待合室から見える愛らんどシャトル
給油中のヘリコプター。

8月のお盆の時期は予約で一杯とのことですが、まとまった数が突然キャンセルされることもあり、当日になって3、4人での運行になることもあるそうです。

ちなみに、8月の繁忙期はチャーター便があり(後述)、朝と夕方余分に一往復ずつ運行されますが、この日は全て満席。この便がダメなら八丈島に宿泊確定です。

「私青ヶ島には行ったことないんですよ」とその女性。空港で働いていてもそんな感じなんですね。

東京愛らんどシャトルの機内

愛らんどシャトルの機体
いよいよ搭乗です。
八丈島の町並み
八丈島空港を離陸。

愛らんどシャトルは自由席。2人席と1人席が互い違いに配置されていて、後部座席が4人掛け。先に乗った人が好きな席に座れます。

機内はさほど狭苦しい感じでは無く、機体もそんなに揺れません。音と振動はすごいので、会話できる感じではありませんが。

離陸後の機内
機内から八丈島を見下ろす。
ヘリコプターから見た八丈島
八丈島を見下ろす。
東邦航空の機内
9人定員だが、狭い感じではない。
ヘリコプターから見える風景
飛行中の機内から見る海。
遠くに見える青ヶ島
遥か前方に青ヶ島が見えてきた。

空から見る青ヶ島

ヘリコプターは、あっという間に青ヶ島に接近。70kmの距離を飛んできたとは思えない速さです。

着陸体制に入った機内
着陸に向けて降下し始める。

生で見る青ヶ島は、噂通りの大迫力。雲が掛っていて、全景が撮れなかったのが残念でしたが…。

ヘリコプターから見た青ヶ島
上空から見下ろす青ヶ島は、凄まじい迫力。

周囲を断崖絶壁に囲まれた青ヶ島は、標高200~300mある崖の上の高地に集落が集中しています。逆にいえば、それ以外の地域に人は住めず、近づくことさえできないエリアもあります。どんな暮らしをしているんだろう、降り立ったらどんな感じなんだろうと、興奮は冷めません。

青ヶ島北部の遠景
断崖絶壁の上に集落が見える。

ヘリコプターは、雲の切れ間から無事着陸。青ヶ島ヘリポートの周囲には、多くの島民が集っていました。

青ヶ島へ降下する愛らんどシャトル
青ヶ島ヘリポート目掛けて降下する。
東邦航空機を下から見上げる
ヘリコプターの音が村内に響き渡る。
青ヶ島に着陸する愛らんどシャトル
青ヶ島に到着。

ヘリコプターは、素早く乗客を乗せて、折り返し八丈島へ戻っていきました。

ヘリポート傍の墓地
青ヶ島ヘリポートの周りは墓地。

ヘリポートの周囲は墓地。この日はちょうど「墓刈り」と呼ばれる行事で、島民総出で墓の草刈りをしていました。

村のチャーター便とは

青ヶ島は、船の就航率が異常に低く、ヘリコプターが唯一の上陸手段になることがしばしばあります。しかし、ヘリコプターは、定員が9人と十分な輸送能力があるとはいえません。

こうした状況から、青ヶ島村は、朝と夕方に最大2便のチャーター便を運行しています。窓口はあくまでも村役場で、東邦航空とは別の予約形態です。

そもそも愛らんどシャトルは、一つの機体で伊豆諸島を一周するような運行スケジュールになっており、チャーター便は、朝一の青ヶ島便より前の早朝、全ての運行が終わった後の夕方に、それぞれ村から要請を受けて運行されるわけです。

チャーター便には運行条件があり、それは9人集まる見通しが立つことです。ただ、牛祭りの前後とお盆の時期は、乗客が増えることが分かっているので、3週間前くらいから役場で予約を受け付けていました。私も帰りのヘリはチャーター便を予約していました。

愛らんどシャトルは「飛ばせば飛ばすほど赤字」と言われるほど採算が取れていない状況。チャーター便を飛ばしてもらえるだけでもありがたい限りです。

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探索日
2011/08/07 - 10
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