piezo tap
「piezo tap」は、大学の卒業制作で企画・制作したゲーム作品です。アプリケーションだけでなく、センサーを用いたコントローラーも自作し、フィジカルな操作体験を楽しめるエンターテインメントを生み出しました。
この作品は、同年の優秀作品として選出され、大学で発行される年刊の参考作品集に収録されたほか、全学科で行われる卒業制作展でも選抜作品として展示されました。
- 制作年/参画時期
- 2009-2010年
- 形態
- アプリケーション(Flash)、独自デバイス
- 種別
- アプリケーション開発、UIデザイン
- 案件フェーズ
- 大学の卒業制作
- チーム規模
- 1名(個人開発)
- 役割
- デザイン、開発に関わる全て
フィジカルコンピューティング時代のアプリケーション
当時、ちょうどスマートフォンやタブレット端末が世の中に普及し始めた時代でした。それまでマウスやキーボードを使って画面の中でしか操作できなかった様々なエンターテインメントが見直され、任天堂の「Wii」やマイクロソフトの「Kinect」といった、新世代の操作体系が定着していくのを目の当たりにしていました。
私は前作「JellyPanic」で、傾けて遊ぶゲーム開発にチャレンジしましたが、展示会での来場者の反応の良さに手応えを感じていました。そこで、卒業制作となる本作でも、センサーを使ったフィジカルコンピューティング作品に取り組むことにしました。
シンプルな操作体系と画面への連動性
本作品は、「叩く」という直感的で簡単な操作だけで楽しめるゲームです。物理的に用意された「箱」をプレイヤーが叩くことで、その衝撃が画面に即座に反映されます。アプリケーション上の物理演算と、プレイヤーのアクションを画面上でリンクさせることで、現実とバーチャルを一体化させたエンターテインメント体験を作り出しました。
プレイヤーは、画面下から浮き上がってくる泡が水面付近に来る瞬間を狙って、入力装置を叩きます。すると、泡はその場で美しくはじけて得点となります。一度に3人まで参加でき、複数プレイヤーが同時に叩くと、その組み合わせで色が変化し、より一層楽しめます。
圧電素子を使った自作コントローラ
汎用のI/Oモジュール「Gainer」と圧電素子(ピエゾ素子)を利用し、入力装置を自作しました。
天板を叩くと、その衝撃が振動となって伝わります。本機では、圧電素子を用いてこの振動を検出し、Gainerモジュールを介してコンピュータに伝えています。回路はユニバーサル基板上に配線されており、基盤に接続したGainerモジュールにUSBケーブルを繋ぎ、コンピュータと通信を行います。
振動の伝達性を考慮し、天板にはPP発泡シートを採用しました。
盛況だった卒業制作展
恵比寿ガーデンプレイスで開催された卒業制作展は、盛況のうちに終わりました。私の作品は実際に体験できるゲームだったので、展覧会では多くの方々に遊んでいただきました。
同年代はもちろん、お子様連れのご家族みんなで楽しんでいる様子も見られ、改めてシンプルな操作が世代を超えて受け入れられたことを実感しました。